皮膚や毛髪の洗浄剤の主成分は界面活性剤です。
身体洗浄の目的は,皮膚や毛髪に付着している汚れを取り除き,清潔に保つことです。
汗や泥、ほこりなど水溶性の汚れは水で洗い流すことができますが、皮脂などの油性の汚れは水に溶けないため、水だけでは落とすことができません。
混じり合わない水と油の間には界面が存在していますが、界面活性剤は、この界面に働いて界面の性質を変え、水と油を混じり合わせることができるのです。
界面活性剤について詳しくは、弊社サイト「資料館」の「界面活性剤とは」をご参照ください。
(★★界面活性剤とは…のページへリンク)
界面活性剤と皮脂膜
皮膚(肌)は、体の外側を覆っている器官で、外からの刺激や細菌などの侵入を防いだり、
身体内部の器官や臓器を守るなど、体を守るさまざまな働きをしています。
私たちの体には100兆個を超える数の微生物(主に細菌)が存在するといわれています。
人体を構成する細胞の数が約37兆個ですから、それより多くの微生物と生活していることになります。
それらの大半は人と共生関係にあり、通常体に害を及ぼすことはありません。
このような微生物を常在菌と呼びます。
衛微研「人体と微生物の関係」
https://kabi.co.jp/relationship-body-and-microorganisms
皮膚表面を覆っている皮脂膜は、厚さ約0.5ミクロンの薄い油膜ですが、皮脂と汗、垢などが混ざってできた保護膜です。
皮脂膜には200種類以上、約100万個の皮膚常在菌がいて、皮脂と汗を食べて脂肪酸とグリセリンの天然の保湿クリームを作り、肌を弱酸性に保って雑菌の繁殖を抑えたりして皮膚のバリア機能(注)を保っています。
皮膚は常に汗や皮脂を分泌し、またターンオーバー(新陳代謝)によって古くなった角質や外部からのほこりやちりが混じり合った垢によって汚れます。
皮膚が正常に働くためには、常に清潔であることが大切ですが、そのために界面活性剤が効果的に働きます。
しかし、洗浄力(脱脂力)の強い界面活性剤は皮膚のバリア機能を破壊するため、界面活性剤による皮膚障害が問題となっています。
界面活性剤は、界面(表面)を変質させるという性質があるため、皮脂とも混ざって皮脂膜の性質も変えてしまう可能性があるのです。
界面活性剤の皮膚刺激性の強さは、陽イオン>陰イオン>非イオン性の順で、皮膚や髪の洗浄には陰イオン界面活性剤が最も多く使われています。
(注)「皮膚のバリア機能」とは、表皮のいちばん外側にある角層が細菌・花粉といったアレルゲンや紫外線などの外部刺激から肌を守るという大切な役割のこと

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界面活性剤の皮膚常在菌への影響 (大阪府立公衆衛生研究所の研究報告)
合成界面活性剤は、水で薄まっても洗浄力を保つため、丁寧にすすがないと肌に残ってしまい、界面活性剤が肌に残ると、肌が洗いすぎの状態になります
大阪府立公衆衛生研究所の研究報告は、陽イオンや界面活性剤や陰イオン界面活性剤だけでなく、皮膚に優しいと言われている非イオン界面活性剤も皮膚常在菌に殺菌効果を示すことを指摘しています。
前書き部分をご紹介します。 _pdf (jst.go.jp)
合成界面活性剤は家庭内では多くの場面に使用されている化学物質である一方、合成洗剤、洗浄剤による皮膚障害が問題となっている。これは界面活性剤によって皮膚のバリアが破壊されることが、原因のひとつと考えられる。また界面活性剤の抗菌作用による皮膚常在菌への影響が一因ではないかと考え今回、市販の基剤も含めて検討を行った。その結果、抗菌性を有する陽イオン系以外に陰イオン系や非イオン系の一部に皮膚常在菌等に対する生育抑制が見られ、皮膚常在菌への影響が示唆された。
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